仕組みを知る
エネルギー収支、体重と体脂肪の違い、代謝の内訳。ここを押さえると、新しいデマが来ても自分で見抜けるようになる。振り回される回数が減る。
プロテインは腎臓に悪いのか
腎臓に病気のない成人を対象にした28試験・1,358人のメタ分析では、たんぱく質を多く摂った群と少ない群で腎機能の変化に差はありませんでした。摂取後に濾過量が上がるのは、健康な腎臓の正常な調節と考えられています。ただし腎臓に持病がある方は別の話になります。
ケトン体はオカルトなのか。言葉を分けると答えが出ます
ケトン体は実在する代謝産物で、糖質を強く減らせば実際に増えます。オカルトなのはその先の接続です。カロリーとたんぱく質を揃えてケトン食に切り替えた研究では、ケトン体が出ている状態でも体脂肪の減り方は加速しませんでした。
運動だけで痩せるのが難しいのはなぜか
狩猟採集民の1日の消費エネルギーを測った研究では、体格を揃えると欧米の人と差がありませんでした。活動量ははるかに多いのにです。運動を増やしても総消費がそのまま増えるとは限らず、体は別のところで節約します。運動の価値は別にあります。
太らない体質の人の体では、何が起きているのか
16人に1日1,000kcal多く食べさせた実験では、脂肪の増え方に10倍の差が出ました。差を説明していたのは無意識の活動量です。学生の1日を活動ごとに分解すると1日約770kcalの上乗せになり、除脂肪量を揃えた消費は20〜60歳で横ばいでした。体質は収支の外側にはありません。
「寝不足だと太る」は本当か。動くのは代謝ではなく食べる量
睡眠を削った実験を集めたメタ分析では、消費エネルギーも安静時代謝も変わらず、食べる量だけが1日385kcal増えていました。逆に眠りを1.2時間延ばした試験では摂取が270kcal減っています。太るかどうかを決めるのは、寝不足そのものではなく翌日の食事のほうです。
電車で立っていると、何kcal多く使うのか
座るのと立つのを比べた46研究・1,184人のメタ分析では、差は1分あたり0.15kcalでした。通勤の往復1時間を立って過ごしても9kcal。それなら座って体力を残し、1駅ぶん歩いたほうが7倍効きます。
消費カロリーの内訳を見ると、「代謝を上げる」の狙いどころが変わります
座って過ごすことが多い人では、基礎代謝が総消費の60〜70%、食事による消費が約10%、身体活動が20〜30%。そして身体活動の大半は運動ではなく日常の動きです。しかもこの部分は、減量中に自分で気づかないまま減っていきます。
体組成計の体脂肪率は当てになるのか。何を測っているのかから見ます
体組成計は脂肪を測っていません。体に微弱な電流を流して水分量を推定し、そこから計算しています。精密な測定法と比べると脂肪量は低めに出やすく、そのぶん除脂肪量は高めに出ます。ただし精密な測定法の値とよく揃って動くので、同じ機械で追った変化は読めます。
体重は1日でどれくらい動くのか。実測された数字を置きます
体重の日々のブレを実際に測った研究では、標準偏差は体重の0.5〜0.7%でした。70kgなら1日あたり±0.4kg前後。ここに食事と塩分とグリコーゲンが乗ると1〜2kgになります。昨日より増えた日に何が起きているかを、数字で分解します。
エネルギー収支だけ分かっていれば、新しいデマに揺れなくて済む
毎年新しいダイエット法が出てきますが、全部を検証する必要はありません。体重を動かしているのは、入ってくるエネルギーと出ていくエネルギーの差だけです。この1つを押さえると、次に来る流行を自分で判定できるようになります。