食べていいおやつの決め方。禁止リストではなく、赤字と見比べます

結論

おやつに善悪はなく、その日の赤字のうち何割を使うかで決まる。1日500kcalの赤字なら、200kcalの間食は赤字の4割。同じカロリーでも満腹感の持ちは違うので、見るべきは種類ではなく量と、次の食事まで持つかどうか。

「このおやつは食べていいですか」と聞かれたら、答えは決まっています。

その日の赤字がいくら残っているかによります。

食品の側に善悪はありません。あるのは、その一口が赤字のどこに乗るかだけです。

まず、赤字の大きさを置く

1週間で体脂肪0.5kg減らしたいなら、必要な赤字は約3,500kcal。1日あたり500kcalです。

この500kcalが、その日に使える予算になります。

体脂肪1kgは約7,200kcal。この数字を土台にすると、以降の判定は全部「この500kcalのうち何割か」に還元できます。

よくある間食を、赤字と見比べる

間食 目安kcal 500kcalの赤字のうち
ブラックコーヒー 5 1%
ミニトマト 5個 15 3%
するめ 20g 60 12%
ギリシャヨーグルト 無糖100g 60 12%
ゆで卵 1個 75 15%
バナナ 1本 85 17%
素焼きアーモンド 15粒 90 18%
おにぎり 1個 180 36%
板チョコ 半分 140 28%
ポテトチップス 半袋(30g) 165 33%
メロンパン 1個 380 76%
ショートケーキ 1個 340 68%

どれも食べられます。 ただし76%を使うなら、その日の他をそれなりに詰める必要がある、というだけです。

「取り返せるか」は運動で考えない

ポテトチップス半袋は165kcal。30分歩いて上乗せされるのは100kcal台なので、取り返すには40〜50分歩く必要があります。

しかも歩数計を使った試験をまとめたメタ分析では、実際の減量幅は週0.05kgでした。計算どおりには相殺されません。

食べたぶんは、食べる側で調整するほうが早い。 これは意志の強さの話ではなく、桁の話です。

同じカロリーでも、持ちは違う

予算の考え方だけだと抜けるのがここです。

200kcalのチョコレートと、200kcalのゆで卵+ヨーグルトでは、次の食事までの持ちが違います。 後者のほうが、夕食が減る可能性が高い。

同じ予算を使うなら、次の食事を軽くしてくれるほうが得です。

目安としてはこうなります。

  • タンパク質が入っているもの(卵、ヨーグルト、チーズ、するめ、プロテイン)
  • かさがあるもの(果物、ミニトマト、スープ)
  • 噛む回数が多いもの(ナッツ、するめ、りんご)

ゆっくり食べた食事では摂取エネルギーが少なかったというメタ分析もあります。噛む回数が多いものは、その意味でも有利です。

回数だけでなく、1回の量も

「間食は1日何回まで」という決め方をしがちですが、研究が示しているのはもう少し広い話です。

1回に出される量と食べる回数を扱った系統的レビューでは、出される量が増えても、回数が増えても、どちらも摂取エネルギーの増加と関連していました。

つまり回数だけ数えても足りません。1回に出す量のほうも、同じくらい効いています。

袋から直接食べるのをやめて皿に出す。根性論に見えますが、出した量で止まりやすくなるという点では理屈に合っています。

では、どうするか

  1. その日の赤字を決める。週0.5kgなら1日500kcal
  2. 間食の枠を先に切る。**赤字の2割(100kcal前後)**を上限にしておくと運用しやすい
  3. 枠を超える日は、夕食の主食を減らして先に帳尻を合わせる。あとから帳尻は合いません
  4. 袋から直接食べない。1回に出す量で摂取量が決まります
  5. 週単位で見る。1日超えても、週の赤字が残っていれば結果は出ます

代わりに、禁止をやめて枠にする

同じ「間食を減らす」でも、やり方で続き方が変わります。

やり方 実際どうなるか
間食を禁止する 数日はもつ。切れたときに枠がないので、そのまま食べ続けてしまう
1日150kcalの枠を決める 何を食べてもいい。150kcalで止まる理由ができる

差は削れる量ではなく、止まる場所があるかどうかです。

禁止には上限がありません。「もう食べてしまった」となった時点で、その日の目安が消えてしまう。枠なら、超えた日も「今日は250kcal使った」で終わります。次の日に持ち越しません。

しかも枠のほうは、1回に出す量を決めると摂取量が決まる、という研究の方向とも合っています。

私は甘いものが苦手なので、そもそも間食はあまりしませんでした。それでも、たまに食べたときの「やってしまった」という感覚はすごかったです。

ところが1週間の収支で見てみると、赤字はまだ十分残っていました。あの罪悪感は、完全に取り越し苦労でした。

1日で見るから大ごとに見えるだけで、週で見れば誤差の範囲だった、というだけの話です。

まとめ

  • おやつに善悪はない。その日の赤字のうち何割を使うかだけ
  • 1日500kcalの赤字なら、板チョコ半分で28%、メロンパン1個で76%
  • 食べたぶんを運動で取り返すのは桁が合わない。食べる側で調整するほうが早い
  • 同じカロリーなら、次の食事を軽くしてくれるものが得
  • 回数だけでなく1回の量も効く。皿に出してから食べる

食べていいものを探すより、いくらまで使えるかを先に決めるほうが早く決まります。

出典

この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。

  1. 総説Non-exercise activity thermogenesis (NEAT): a component of total daily energy expenditure. Journal of Exercise Nutrition & Biochemistry. 2018;22(2):23-30doi:10.20463/jenb.2018.0013消費エネルギーの構成についての総説。1日の赤字を組み立てるときの前提として参照した。
  2. 系統的レビューA systematic review and meta-analysis examining the effect of eating rate on energy intake and hunger. American Journal of Clinical Nutritiondoi:10.3945/ajcn.113.081745食べる速さと摂取エネルギーを扱った22研究のメタ分析。ゆっくり食べた条件のほうが摂取エネルギーが少なく、それでいて食後3.5時間後までの空腹感に差はなかった。同じ量でも食べ方で摂取量が変わるという論点の根拠。
  3. 系統的レビューSystematic Review and Meta-Analysis on the Effect of Portion Size and Ingestive Frequency on Energy Intake and Body Weight among Adults in Randomized Controlled Feeding Trials. Advances in Nutritiondoi:10.1093/advances/nmab1121回に出される量と食べる回数が、摂取エネルギーと体重に与える影響を扱った系統的レビューとメタ分析。**出される量が増えても、食べる回数が増えても、どちらも摂取エネルギーの増加と関連していた。**どちらがより重要かを比べた研究ではない。体重への影響については、研究数が足りず結論が出ていない。
  4. 系統的レビューA meta-analysis of pedometer-based walking interventions and weight loss. Ann Fam Med. 2008;6(1):69-77doi:10.1370/afm.761歩行プログラムの試験9件・計307人をまとめたメタ分析。減量幅は週あたり0.05kg。間食のカロリーを運動で取り返せるかを判断するために参照した。