食事は、制限するものではなく管理するもの

結論

禁止リストは守れているあいだしか効かない。枠を1週間で持つと、外食や食べすぎた日を計算で吸収できる。判断の材料を「良い食品か悪い食品か」から「枠のどこを使うか」に差し替えるのが、食事の管理。

減量を始めた当初、私は脂っこいものとジャンクフードを100%避けていました。

食べないと決めているので迷いはありません。ただ、外食のたびに気を張りますし、食べてしまった日は罪悪感が残ります。

続かない形をしていました。 禁止は、守れているあいだしか効きません。

この記事で書きたいのは、何を食べるかではなくどう決めるかのほうです。

「禁止」と「管理」は、続き方が違う

食事の自制を2種類に分けて調べた研究があります。

中身 結びついていたもの
厳格な統制 特定の食品を完全に断つ。決めたら例外を作らない 過食の反動、体重の高さ
柔軟な統制 量を調整する。食べた分を別の日で合わせる 反動の少なさ、減量の成功しやすさ

観察研究なので、どちらが原因かは言えません。 反動が起きやすい人ほど厳格になる、という向きもありえます。

ただ、厳格なほうが有利だという結果にはなっていない。少なくとも「完全に断つほうが正しい」とは言えません。

枠は、1日ではなく1週間で持つ

禁止リストを捨てるなら、代わりに数えるものが要ります。それが枠です。

体脂肪1kgは約7,200kcalなので、1日500kcalの赤字で週に約0.5kg減ります。ここまでは計算です。

問題は、1日単位で持つと外食で破綻することです。

金曜に飲み会があって1,000kcal超過したとします。1日で見れば、その日は大失敗になります。1週間で見るとこうなります。

数字
1日500kcalの赤字 × 7日 3,500 kcal
金曜の超過 −1,000 kcal
残り 2,500 kcal
残り6日で割ると 1日あたり約417kcalの赤字

500が417になっただけです。週の減りは0.5kgから0.36kgに変わりますが、ゼロにはなりません。

1日で持つと「破綻」に見えるものが、1週間で持つと「167kcalずつの調整」になります。同じ出来事の、数え方の違いです。

外れた日を、計画の一部にしておく

あらかじめ週に1回の外食を見込んでおけば、当日の判断は要らなくなります。

決め方 当日にやること
禁止で管理 食べるか食べないか、その場で葛藤する
枠で管理 もう決まっている。食べる

私が変わったのはここでした。1日や1週間の収支で計算するようになると、「これは食べても大丈夫」と分かります。同じものを食べていても罪悪感が消えました。

枠の中で選べる幅は、思ったより広い

もう1つ、枠を回しやすくする性質があります。人は食事の「重さ」でだいたい満足していて、カロリーでは満足していないことです。

私はかなりの大食いで、2kgまでなら食べられます。同じ2kgでも鶏むね肉と二郎系ラーメンではカロリーがまるで違いますが、満腹感に差はありませんでした。

研究でも、同じ重さのままカロリーを100kcal下げると、その日の摂取が約77kcal減っています。

つまり枠の中には、満腹感を落とさずにカロリーだけ下げる余地がある。 どう使うかは我慢の量と減り方は比例しないのほうに書きました。

代わりに、判断の材料を差し替える

禁止リストを捨てるというのは、判断に使う材料を入れ替えることです。

禁止でやる場合 管理でやる場合
見るもの 良い食品か、悪い食品か 枠のどこを、いくら使うか
ラーメンを食べたい 食べない 食べる。その週の他で合わせる
判断の時点 目の前に出てきたとき 週のはじめ
外れたとき 失敗。罪悪感が残る 残り日数で割り直すだけ
続く条件 意志が続くあいだ 数えられるあいだ

いま落ち着いているのは、ヘルシーな食材をカロリーを見ながらおいしく調理して、満足できる食事にする形です。禁止しているものはありません。

では、どうするか

  1. 週のはじめに、1週間ぶんの枠を決める。1日500kcalの赤字なら週3,500kcalです
  2. 外食や飲み会を、先に枠へ入れておく。 当日の判断がなくなります
  3. 超過した日は、残りの日数で割り直す。1,000kcal超過も6日で割れば167kcalずつです
  4. おやつも同じ枠で見る。食べていいかではなく、いくら使うかで決めます
  5. 1日単位の記録に一喜一憂しない。体重も1日では2kg近く動きます

まとめ

  • 厳格な統制は過食の反動と、柔軟な統制は減量の成功しやすさと結びついていた(観察研究)
  • 枠を1週間で持つと、外食した日を計算で吸収できる
  • 1,000kcalの超過も、残り6日で割れば1日167kcalの調整にしかならない
  • 外食を先に枠へ入れておけば、当日の葛藤そのものが消える
  • 管理とは、判断の材料を「良い食品か」から「枠のどこを使うか」に差し替えること

食べていいものが増えるほうが続きます。減らすのは食品の種類ではなく、迷う回数のほうです。

出典

この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。

  1. 観察研究Validation of the flexible and rigid control dimensions of dietary restraint. International Journal of Eating Disorders. 1999doi:10.1002/(sici)1098-108x(199907)26:1<53::aid-eat7>3.0.co;2-n食事の自制を「厳格な統制」と「柔軟な統制」に分けて調べた研究。厳格なほうは過食の反動や体重の高さと結びつき、柔軟なほうは反動の少なさや、1年間のプログラムのなかでの減量の成功しやすさと結びついていた。観察研究なので、どちらが原因かは言えない。
  2. 系統的レビューCalorie reformulation: a systematic review and meta-analysis examining the effect of manipulating food energy density on daily energy intake. 2022doi:10.1186/s12966-022-01287-z食品のエネルギー密度(同じ重さあたりのカロリー)を下げた研究を集めたメタ分析。提供されるカロリーを100kcal下げると、その日の摂取エネルギーは約77kcal減っていた。人が食事の「重さ」で満足していることを示している。