信じて損をしたこと5つ
減量の途中で捨てた思い込みが5つある。どれも「まったくの嘘」ではなく、実在する現象を大きく見積もったものだった。効果量を当てると順番に落ちていき、そのぶん気にすることが減った。
90kgから減量を始めて、途中で捨てた思い込みが5つあります。
どれも、当時はかなり真剣に守っていました。そしてどれも、完全な嘘ではありません。実在する現象を、大きく見積もっていただけです。
数字を当てたら順番に落ちていきました。落ちたぶん、気にすることが減りました。
1. 運動は20分やらないと脂肪が燃えない
これが一番、行動を止めていました。
30分取れない日は「どうせ意味がない」と考えて、出ませんでした。守っていたつもりで、やらない理由として使っていたのだと思います。
実際に調べると、脂肪は運動開始直後から使われています。10分×3回と30分1回を比べた試験でも、体重の減り方に差はありませんでした。
| その日の判断 | 上乗せされる消費 |
|---|---|
| 30分取れないから、今日はやめる | 0 kcal |
| 10分だけ歩く | 約35 kcal(体重70kg) |
ゼロと35の差です。この思い込みで失っていたのは、その日の運動ではなく習慣のほうでした。 → 「有酸素は20分続けないと脂肪が燃えない」を確かめます
2. チートデイで代謝がリセットされる
停滞したら、たくさん食べて代謝を戻す。そういうものだと思っていました。
実際に測られている値は、24時間で約7%。しかも上がるのは一時的です。リセットという言葉が指すような、スイッチが入り直す現象は見当たりませんでした。
一方で、食べる側は1日で1,000kcal単位で動きます。上がる分より、入る分のほうがずっと大きい。
食べていい日を作ること自体は否定しません。ただ、代謝のためではなく、続けるために作るものでした。 → チートデイで代謝はリセットされない。でも、食べていい日はある
3. 停滞期は体の防御機能
体が飢餓と判断して、脂肪を守りにくる。だから減らない。そう理解していました。
減量で代謝が下がるのは本当です。ただし幅は1日65〜230kcalでした。数百kcalの赤字を打ち消すほどではありません。
止まって見えるときに実際に起きていたのは、水分の増減と、記録と実際のズレのほうでした。
「体が守りにきている」と考えると、打つ手がなくなります。 数字で見れば、確かめる場所があります。 → 停滞期は「体の防御機能」ではない
4. ダイエット中に酒は厳禁
減量中、最初の1か月は完全に断ちました。
そのあと気づいたのは、飲まないストレスのほうが大きかったことです。飲み会に行かない選択をして、それで続かなくなるなら本末転倒でした。
系統的レビューでは、適量の飲酒と体重増加の関連は確認されていません。関連が出ているのは多量飲酒のほうです。
そして飲んだ日に効いていたのは、酒そのものよりそのあとの一品でした。飲むと食べる量が増えるほうが、収支への影響が大きい。
いまは参加して、食べ物のカロリーを見る形に変えています。 → ダイエット中の酒は、飲んだ量より「そのあとの一品」で決まります
5. 脂質は摂らないほうがいい
油を避けること自体が目的になっていました。
脂質は1gあたり9kcalで、糖質やたんぱく質の倍以上あります。減らしやすい場所であるのは本当です。
ただ、ゼロにする必要はありませんでした。 過体重の成人609人を1年追った試験では、低脂質と低糖質で体重の差が出ていません。
避けるほど良いと思っていたせいで、食べられるものがどんどん限られていきました。 いまは量を見ながら使っています。 → 糖質を摂ると必ず太るのか。揃えて比べた実験があります
5つに共通していたこと
並べてみると、同じ形をしていました。
| 思い込み | 実在する現象 | 実際の大きさ |
|---|---|---|
| 20分から燃える | 時間が経つと脂肪の割合は上がる | スイッチは無い |
| 代謝がリセットされる | 食べると代謝は上がる | 24時間で7% |
| 体が守りにくる | 代謝は下がる | 1日65〜230kcal |
| 酒は厳禁 | 多量飲酒は体重増加と関連 | 適量では確認されていない |
| 脂質は摂らない | 脂質はカロリーが高い | ゼロにする必要はない |
どれも「まったくの嘘」ではありません。 現象は実在して、大きさが違っていただけです。
だから「嘘を見抜く」という感覚ではありませんでした。どれくらいかを調べたら、気にしなくていい側に移っていったという順番です。
代わりに、増えたもの
5つ捨てて、代わりに置いたものは1つだけです。
| 捨てる前 | 捨てたあと | |
|---|---|---|
| 判断の材料 | 良いこと/悪いことのリスト | 1日と1週間の収支 |
| 守るもの | 5つの禁止事項 | 1つの数字 |
| 外れたとき | 失敗 | 残りの日数で割り直す |
覚えることは減りました。リストが1つの数字になったので、外食先でも判断できます。
では、どうするか
- いま守っている決まりごとを書き出して、それぞれ何kcalぶんかを調べる
- 数字が出てこないものは、いったん外す。出てこない時点でたいてい小さい
- 外したぶん、収支のほうに注意を移す。見る場所を増やさない
- 「やらない理由」に使っている決まりがあれば、そこから外す。1と2で見つかります
- 調べ方は5つの質問にまとめてあります
まとめ
- 20分ルール、チートデイ、停滞期、酒、脂質。5つとも捨てた
- どれも現象は実在していて、大きさを大きく見積もっていただけだった
- 一番損をしたのは20分ルール。やらない理由として使っていた
- 5つを1つ(収支)に置き換えたら、覚えることが減った
- 減ったのは選択肢ではなく、心配事のほうだった
守る決まりが多いほど真面目にやっている感じがしますが、減り方とは関係がありませんでした。