脂肪燃焼系サプリの効果量を、並べてみます

結論

脂肪燃焼系サプリの効果はメタ分析で1kg前後。統計的な差は出ているが、期間も条件もばらばらで、食事の調整に比べると小さい。飲んではいけないのではなく、期待する場所が違う。

脂肪燃焼系のサプリは、「効果がある/ない」で語られがちです。

このブログでは効果量を見ることにしているので、数字を並べます。

メタ分析で報告されている数字

成分 対照と比べた体重の差
緑茶エキス −0.65 kg
L-カルニチン −1.21 kg

どちらも統計的には有意です。 効果が「ない」わけではありません。

よく名前の挙がるCLAとガルシニアについては、複数の成分を横断的に整理した系統的レビューがあります。そちらの書き方はもう少し慎重です。

成分 レビューの整理
ガルシニア 減るとしても体重のおよそ1%。試験によってばらつき、差が出ない結果もある
CLA 統計的には差が出ても、臨床的に意味のある大きさではない

このレビューの結論は、単一成分のサプリを減量目的で使うことを強く支持する結果にはなっていない、というものです。

ただし、読み方に条件が付きます。

正しい読み方 違う読み方
対照群と比べた差 飲めばこれだけ減る
試験の期間はばらばら(数週間〜数か月) 毎月この量が積み上がる
質の高い試験に絞ると効果が縮むものがある どの研究でも同じ結果

L-カルニチンでは、質の高い試験だけに絞ると確認されたのは体重への効果のみで、体組成の変化は残りませんでした。緑茶エキスも、体脂肪率では有意な減少が出ていません。

食事の調整と比べる

比較の土台を置きます。体脂肪1kgは約7,200kcalです。

やること 4週間での目安
サプリ(上の数字の範囲) 約 1 kg
1日500kcalの赤字 約 2 kg
1日250kcalの赤字 約 1 kg

1日250kcalは、菓子パン1個を外すくらいの調整です。

サプリの効果量は、その程度と同じになります。飲んでいけないのではなく、置いている期待が大きすぎる、という話です。

費用の側も見ておく

効果量が近いなら、コストで比べられます。

月あたりの費用 4週間の目安
サプリ 数千円 約 1 kg
菓子パン1個を外す −数千円 約 1 kg

後者はお金が増えます。同じ効果なら、こちらが先に来ます。

代わりに、飲むなら足し算として使う

サプリを否定しなくてもかまいません。順番の問題として扱えます。

順番 中身
1 1日の枠を決める。収支が主役
2 たんぱく質を確保する。満腹感と除脂肪量に効く
3 余裕があればサプリ

1と2を飛ばして3だけやると、効果量が0.5〜1.3kgの取り組みだけが残ります。 それでは届きません。

逆に1と2ができていれば、3を足しても害はありません(持病や服薬がなければ)。

気をつけること

  • 持病がある方、薬を飲んでいる方は、サプリとの飲み合わせについて主治医か薬剤師にご相談ください
  • 「医薬品の成分が検出された」として回収される製品が定期的に出ています。極端な効果を謳う輸入品には注意がいります
  • 効果量が小さいぶん、価格が高い製品ほど費用対効果は悪くなります

まとめ

  • メタ分析で報告されている効果量は、対照と比べて0.5〜1.3kg程度
  • 統計的な差は出ているが、期間も条件もばらばら
  • 質の高い試験に絞ると効果が縮むものがある
  • 1日250kcalの調整と同じくらいの大きさ。そちらは費用がマイナスになる
  • 飲むなら、枠を決めてたんぱく質を確保したあとの足し算として

効かないのではなく、そこから始めると遠回りになります。

出典

この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。

  1. 系統的レビューEffect of green tea, caffeine and capsaicin supplements on the anthropometric indices: A meta-analysis of randomized clinical trials. 2018doi:10.1016/j.jff.2018.04.002緑茶・カフェイン・カプサイシンのサプリを扱ったランダム化試験のメタ分析。緑茶で体重が0.65kg(95%信頼区間 −1.10〜−0.20)、BMIが0.26減った。体脂肪率については有意な減少は見られなかった。
  2. 系統的レビューEffects of l-carnitine supplementation on weight loss and body composition: A systematic review and meta-analysis of 37 randomized controlled clinical trials with dose-response analysis. Clinical Nutrition ESPEN. 2020doi:10.1016/j.clnesp.2020.03.00837のランダム化試験を集めたメタ分析。L-カルニチンで体重が1.21kg(95%信頼区間 −1.73〜−0.68)、脂肪量が2.08kg減った。ただし質の高い試験だけに絞ると、確認されたのは体重への効果のみだった。
  3. 総説A systematic review on the clinical significance of nutraceuticals for weight loss. Australian Journal of Herbal and Naturopathic Medicine. 2023;35(4):154-171doi:10.33235/ajhnm.35.4.154-171減量を謳うサプリ成分を横断的に整理した系統的レビュー。ガルシニアについては「体重のおよそ1%」程度で、試験によって結果がばらつき信頼区間がゼロをまたぐものもあると整理している。CLAについては**統計的には有意でも臨床的に意味のある差ではない**としている。結論は、単一成分のサプリを減量目的で使うことを強く支持する結果にはなっていない、というもの。