半身浴とサウナで脂肪は落ちるのか。汗の量と消費カロリーは別の話です

結論

1時間の高温入浴でエネルギー消費は安静時より約80%増えるが、上乗せぶんは60kcal程度にとどまる。100度のサウナを4週間12回行った試験では体脂肪も体重も変化しなかった。汗で減る体重は水分であり、翌日には戻る。ただし食後の血糖については、入浴のほうが自転車こぎより低かったという報告がある。

「サウナで2kg減った」は、たぶん本当です。ただしその2kgは、翌日には戻ります。

何がどれだけ減っているのかを、測られた数字で見ます。

汗で減るのは水分で、脂肪ではない

汗は水と塩分と、わずかなミネラルでできています。脂肪は汗に溶けて出てきません。

サウナで1リットル汗をかけば、体重計は1kg減ります。水を1リットル飲めば、その1kgは戻ります。

これは比喩ではなく、そのままの意味です。体重計は、体内にある水の重さを正直に測っているだけです。体重が1日で動く理由と同じ話です。

では、消費カロリーはどれくらいか

汗とは別に、体を温めること自体はエネルギーを使います。ここは実際に測られています。

男性14人に、1時間の高温入浴と1時間の自転車こぎをさせて比べた研究があります。

論文が示しているのは、入浴でエネルギー消費が安静時より約80%増えたということです。

これを1時間あたりのkcalに直してみます。ここから先は私の見積もりです。 体重70kgの成人が座って1時間過ごすと、おおよそ78kcal。その80%増なので、上乗せは60kcal程度になります。

おにぎり半分に届きません。

⚠️ 論文が出しているのは「増加した割合」までです。60kcalのほうは、そこに一般的な安静時の消費を当てはめて私が計算した値で、論文にそう書いてあるわけではありません。

サウナはもう少し高い

運動習慣のない過体重の若い男性で、10分のドライサウナを4回繰り返して測った研究があります。消費エネルギーは1回目から順に73、94、115、131kcal。休憩を含めた約1時間の全体で400kcal台でした。

心拍数も平均98拍から133拍まで上がっています。体にとっては、それなりの負荷です。

ただし、これはサウナに慣れていない人での測定値です。慣れるほど反応は小さくなると考えられます。

4週間続けた試験では、体脂肪は変わらなかった

数字だけ見ると「サウナで400kcal」は悪くないように見えます。実際に続けたらどうなったか。

健康な若い男性23人を、2つの群に分けた試験があります。片方は100度のサウナを4週間で12回。週3回、1回につき10分の入室を5セットです。もう片方は行いません。

結果は、体脂肪量にも体重にも、有意な変化なし。どの測定時点でも、です。

12回で消費が仮に合計5,000kcalだとしても、体脂肪1kgは7,200kcal。4週間ぶんのブレに埋もれる量です。加えて、サウナのあとに水分と一緒に何か飲めば、そこで相殺されます。

それでも、意味がないわけではない

さきほどの入浴の研究には、もう一つ結果があります。

そのあとの食事で血糖を測ったところ、ピークの高さは入浴のほうが自転車こぎより低くなりました。 食後全体の量(曲線下面積)は、両者で同程度です。

消費エネルギーははるかに小さいのに、血糖のピークは抑えられている。体を温めること自体が、代謝に何か作用している可能性を示しています。

ただし注意が2つあります。人数が14人であること。そして、この研究には「何もせず座っていた場合」の比較がありません。 入浴と運動を比べただけなので、「入浴で血糖が改善した」とまでは、この研究からは言えません。「そういう報告がある」の段階です。

代わりに、その1時間の半分を歩きに回す

「体重のために」サウナや長風呂をしているなら、同じ時間をこう割ると数字が変わります。

1時間の使い方 上乗せされる消費
高温の入浴を1時間 約60 kcal
30分歩いてから、30分入浴 約100 + 約30 = 約130 kcal

歩行は1kmあたり体重1kgにつき約0.96kcal。70kgの人が30分歩けば、上乗せは100kcal前後です。

半分を歩きに回すだけで、倍になります。 しかも風呂の気持ちよさは残る。

運動のあとに入るほうが、汗も出て満足度が高いという実感もあると思います。順番を入れ替えるだけなので、我慢は増えません。

では、どうするか

  1. 入る前に30分歩く。入浴の時間を削らずに、上乗せを倍にできます
  2. 体重計に乗るのは、入浴やサウナの前後を避ける。水分が抜けただけの数字を記録すると、翌日の「増えた」で落ち込みます
  3. 水分は必ず戻す。脱水したまま過ごしても、痩せたことにはなりません
  4. 気持ちよさや睡眠のために入るのは、まったく問題ありません。ただ理由を体重に置かないでください

持病のある人、血圧の薬を飲んでいる人、妊娠中の人は、高温の入浴やサウナについて主治医の指示を優先してください。ここは体重の話とは別の領域です。

私は減量中、サウナのあとの体重計が一番うれしい瞬間でした。あれが水だと知ってからは、乗るのをやめました。数字が読めなくなるだけなので。

まとめ

  • 汗で減る体重は水分。飲めば戻る
  • 1時間の高温入浴で、エネルギー消費は安静時より約80%増える。上乗せに直すとおよそ60kcal
  • サウナ(10分×4回)は合計400kcal台という測定もあるが、慣れていない人での値
  • 100度のサウナを4週間12回行った試験では、体脂肪も体重も変わらなかった
  • 一方、食後の血糖のピークは入浴のほうが自転車こぎより低かったという報告がある

サウナも風呂も、やめる必要はありません。体重計に乗る時間だけ変えてください。

出典

この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。

  1. ヒト実験The effect of passive heating on heat shock protein 70 and interleukin-6: A possible treatment tool for metabolic diseases? Temperature. 2017doi:10.1080/23328940.2017.1288688男性14人に、1時間の高温入浴と1時間の自転車こぎを行わせて比較した研究。**論文が示しているのは安静時からの増加分で、入浴では約80%(79.5%)増だった。**そのあとの食事では、血糖のピークは入浴のほうが自転車こぎより有意に低く、曲線下面積は両者で同程度。安静のまま過ごす対照条件は置かれていないため、安静時と比べてどうかはこの研究からは言えない。人数が14人と少ない。
  2. ヒト実験Correlations between Repeated Use of Dry Sauna for 4 x 10 Minutes, Physiological Parameters, Anthropometric Features, and Body Composition in Young Sedentary and Overweight Men: Health Implications. BioMed Research International. 2019doi:10.1155/2019/7535140運動習慣のない過体重の若い男性を対象に、10分のドライサウナを4回繰り返したときの生理反応を測定した研究。消費エネルギーは1回目から順に73、94、115、131kcalで、休憩を含む約1時間の全体で400kcal台。心拍数は平均98拍から133拍まで上がった。サウナに慣れていない人での測定値である点に注意。
  3. RCTEffects of Twelve Sessions of High-Temperature Sauna Baths on Body Composition in Healthy Young Men. Int J Environ Res Public Health. 2021;18(9):4458doi:10.3390/ijerph18094458健康な若い男性23人を、100度のサウナを4週間で12回(週3回、1回につき10分の入室を5セット)行う群と対照群に分けた試験。体脂肪量にも体重にも、いずれの測定時点でも有意な変化は見られなかった。