超加工食品は本当に「別物」なのか。珍しく強い証拠があります
カロリーも栄養素も食物繊維も揃えたうえで比べると、超加工食品の期間のほうが1日508kcal多く食べていた。このブログで扱ってきた中では例外的に大きい効果量。ただし食品の善悪ではなく、量が読めなくなる話。
このブログでは「効果量は思ったより小さい」と書くことが多いです。
この話は例外です。超加工食品については、珍しく大きい数字が出ています。
まず、超加工食品とは何か
言葉だけ広まっていて、何を指すのかが曖昧なまま使われがちです。先に置いておきます。
研究で使われているのは、加工の度合いで食品を4つに分ける分類です。超加工食品はその一番端で、「家庭の台所にはない材料や工程が入っているもの」と考えると近い。乳化剤、増粘剤、着色料、香料、あるいは工業的な成形や膨化です。
身近なものだと、こういったあたりが当てはまります。
| 例 | |
|---|---|
| 未加工・最小限の加工 | 米、肉、魚、卵、野菜、果物、牛乳 |
| 加工した材料 | 油、砂糖、塩 |
| 加工食品 | 缶詰、チーズ、できたてのパン、塩漬けの魚 |
| 超加工食品 | インスタント麺、スナック菓子、菓子パン、清涼飲料、ソーセージやナゲット、市販の冷凍食品、カップスープ |
線引きは厳密ではありません。同じ「パン」でも、材料が粉・水・塩・酵母だけのものと、乳化剤や保存料が入った袋入りのものでは群が変わります。
⚠️ ここで挙げたのはどれを食べてはいけないかの表ではありません。 何を指しているのかが分からないと、このあとの数字が読めないので置いています。
カロリーも栄養素も揃えて比べた試験
体重が安定した成人20人を病棟に入れた試験があります。
超加工食品中心の食事と、未加工中心の食事を2週間ずつ。順番はランダムです。好きなだけ食べてよい条件でした。
重要なのは、出した食事を揃えてあることです。
| 揃えたもの |
|---|
| カロリー |
| エネルギー密度 |
| 三大栄養素の比率 |
| 糖・塩分 |
| 食物繊維 |
ここまで揃えれば、差が出るとすれば「加工されているかどうか」だけになります。
結果は、超加工食品の期間のほうが1日508kcal多く食べていました。 増えたのは糖質と脂質で、たんぱく質は増えていません。
508kcalが何を測った数字か
大きい数字なので、読み方を確かめます。
| 正しい読み方 | 違う読み方 |
|---|---|
| 自分から多く食べた量 | 吸収率が上がった |
| 好きなだけ食べてよい条件での差 | 決まった量を食べても太る |
| 出した食事は揃えてある | 超加工食品のほうが高カロリーだった |
| 20人・各2週間の結果 | 誰でも必ずこうなる |
動いたのは摂取側です。同じ量を出されて、多く手が伸びたということになります。
なぜ多く食べてしまうのか
研究では、食べる速さが速かったことも報告されています。
| 考えられる経路 | 中身 |
|---|---|
| 噛む回数が少ない | やわらかく、速く食べられる |
| 満腹感が追いつかない | 量が決まる前に食べ終わる |
| 満腹感あたりのカロリーが高い | 同じ満足に多くのカロリーが要る |
38種類の食品を240kcalずつ食べて満腹感を比べた研究では、同じカロリーでも満たされ方が最大7倍違いました。
つまり超加工食品が特別に太らせるというより、同じ満足に届くまでに多く入ってしまう構造です。
代わりに、量が決まっているものを選ぶ
ここでも禁止リストは作りません。多く食べてしまうのが問題なら、量が決まっていれば問題は消えます。
| 場面 | 多く入りやすい形 | 量が決まる形 |
|---|---|---|
| 昼食 | 袋菓子・大袋 | 定食・弁当 |
| 間食 | 大袋から直接 | 小分けを1つ |
| 夕食 | 鍋から取り分けながら | 先に器によそう |
よそう量を固定する、大袋を買わない。効くのはこの形です。加工食品を食べないことではありません。
508kcalは大きい数字ですが、それは「好きなだけ食べてよい場面」での数字です。量が決まっていれば、この差は出ません。
では、どうするか
- 加工食品を禁止するのではなく、量が決まる形で買う。小分け、1食分の包装
- 大袋を買った日は、先に器に出す。袋から直接食べる形だけを避けます
- たんぱく質と食物繊維が入るものを足す。満腹感あたりのカロリーが下がります
- 忙しい日は加工食品でかまいません。1日の枠の中に収まっていれば問題ありません
- 食べる速さが気になるなら、量のほうを先に決める。速さより量が効きます
まとめ
- 超加工食品とは、インスタント麺・スナック菓子・菓子パン・清涼飲料など、家庭の台所にはない材料や工程が入ったもの
- カロリーも栄養素も食物繊維も揃えて比べて、超加工食品の期間は1日508kcal多かった
- このブログで扱ってきた中では、例外的に大きい効果量
- 動いたのは摂取側。自分から多く食べていた
- ただし「好きなだけ食べてよい条件」での数字。量が決まれば差は縮む
- 対策は禁止ではなく、量が決まる形で買うこと
珍しく強い証拠のある話ですが、行き着く先はいつもと同じで、量のほうです。
出典
この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。
- RCTUltra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. Cell Metabolism. 2019;30(1):67-77doi:10.1016/j.cmet.2019.05.008体重が安定した成人20人を病棟に入れ、超加工食品中心の食事と未加工中心の食事を2週間ずつ、順番をランダムにして食べてもらった試験。出した食事はカロリー・エネルギー密度・三大栄養素・糖・塩分・食物繊維を揃えている。好きなだけ食べてよい条件で、超加工食品の期間のほうが1日508kcal多く摂取していた。増えたのは糖質と脂質で、たんぱく質は増えていない。20人・各2週間の研究である点は割り引いて読む必要がある。
- 系統的レビューCalorie reformulation: a systematic review and meta-analysis examining the effect of manipulating food energy density on daily energy intake. 2022doi:10.1186/s12966-022-01287-zエネルギー密度を下げた研究を集めたメタ分析。提供カロリーを100kcal下げると、その日の摂取は約77kcal減った。人が食事の重さで満足していることを示している。
- ヒト実験A satiety index of common foods. European Journal of Clinical Nutrition. 199538種類の食品を240kcalずつ食べてもらい満腹感を比べた研究。1品あたり11〜13人と小規模。同じカロリーでも満腹感は最大7倍違った。