デトックスで脂肪は落ちるのか

結論

市販のデトックス食を人で検証したランダム化試験は見当たらないと総説が指摘している。落ちる体重は、その期間に食べた量が減ったことで説明できる。解毒は肝臓と腎臓が常時行っている。

「3日間のジュースクレンズで毒素を出す」「デトックスで代謝が戻る」。

この話は2つに分けると整理できます。毒素が出ているのかと、脂肪が落ちているのかです。

総説が言っていること

デトックス食の根拠を整理した総説があります。

書かれているのは、こうでした。

項目 総説の記述
市販のデトックス食を人で検証した試験 著者らの知る限り、行われていない
肝臓の解毒を高めたとする臨床研究 いくつかあるが、方法に問題があり人数も少ない
特定の食品の解毒作用 予備的な報告はあるが、多くは動物実験

業界は大きいのに、臨床の証拠がほとんどないという状態です。

そもそも、解毒は常時行われている

体には解毒を担当する臓器があります。肝臓と腎臓です。

臓器 役割
肝臓 化学物質を代謝し、排出しやすい形に変える
腎臓 血液から不要なものを濾して尿にする

どちらも24時間動いています。 食事で追加の指示を出す仕組みは知られていません。

機能が落ちている場合は病気であり、ジュースで対応する話ではなくなります。

では、体重が落ちるのはなぜか

デトックス食で体重が落ちるのは本当です。理由は単純です。

落ちた分 正体
大部分 その期間の摂取カロリーが少ない
一部 グリコーゲンと水
一部 消化管の中身

ジュースだけの3日間なら、1日あたり数百kcalしか入りません。赤字が大きいので、当然落ちます。

毒素が抜けたのではなく、食べていないだけ、ということになります。

代わりに、同じ日数を別の形に使う

3日間で体重を動かしたいなら、比べる相手を作ります。

3日間の過ごし方 起きること
ジュースだけ 大きく落ちる。戻すと戻る
1日500kcalの赤字を3日 約0.2kg。戻らない

一時的に大きく落とす方法は、戻る量も大きい。隔日断食と毎日の制限を1年比べた試験でも、差は出ていません。

短期で数字を動かしたい場面(服を着る予定がある等)では、水分が抜けること自体は使えます。ただし体脂肪の話とは別だと分けておく必要があります。

気をつけること

極端に食事を制限する期間を作ると、その後の反動が出ることがあります。持病のある方、薬を飲んでいる方、妊娠中の方は行わないでください。

「毒素が出た」と感じる体調の変化(頭痛、だるさ)は、糖質やカフェインが急に減ったことでも起こります。

では、どうするか

  1. 解毒を目的にするのはやめて、その期間の摂取量のほうを見る
  2. 短期で数字を動かしたい予定があるなら、水分だと理解したうえで使う
  3. 落ちた体重が戻っても、失敗ではありません。戻る種類のものでした
  4. 野菜や果物を増やすこと自体は良い。ただし理由は解毒ではなく、満腹感あたりのカロリーです
  5. 体調不良が続くときは、食事ではなく医療機関へ

まとめ

  • 市販のデトックス食を人で検証した試験は行われていない、と総説が指摘している
  • 解毒は肝臓と腎臓が常時行っていて、食事で追加の指示は出せない
  • 落ちる体重は、その期間の摂取が少ないことで説明できる
  • 一時的に大きく落ちる方法は、戻る量も大きい
  • 野菜や果物を増やすのは良い。ただし理由は解毒ではない

毒素を気にする必要はありません。見るのは、その3日間に何kcal入ったかです。

出典

この記事を書くために当たった研究です。同じ「出典あり」でも重みは違うので、どういう種類の研究かを1件ずつ添えました。 メタ分析やRCTは因果を言える設計、観察研究や数理モデルはそこまで言えません。

  1. 総説Klein AV, Kiat H. Detox diets for toxin elimination and weight management: a critical review of the evidence. Journal of Human Nutrition and Dietetics. 2015;28(6):675-686doi:10.1111/jhn.12286デトックス食の根拠を整理した総説。市販のデトックス食の有効性を人で検証したランダム化比較試験は、著者らの知る限り行われていないと述べている。肝臓の解毒を高めた、あるいは残留性の有機汚染物質を排出したとする臨床研究はいくつかあるが、方法に問題があり、人数も少ない。特定の食品に解毒作用を示唆する予備的な報告はあるが、その多くは動物実験。
  2. ヒト実験Olsson KE, Saltin B. Variation in total body water with muscle glycogen changes in man. Acta Physiol Scand. 1970;80(1):11-18doi:10.1111/j.1748-1716.1970.tb04764.x19人を対象に、運動でグリコーゲンを枯渇させたあと糖質を多く摂らせた研究。全身の水分が2.2L、体重が2.4kg増えた。ここから**グリコーゲン1gあたり3〜4gの水**が伴うと見積もられている。過食の実験ではなく、枯渇と再充填の実験である点に注意。
  3. RCTEffect of Alternate-Day Fasting on Weight Loss, Weight Maintenance, and Cardioprotection Among Metabolically Healthy Obese Adults: A Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine. 2017doi:10.1001/jamainternmed.2017.0936隔日断食と毎日のカロリー制限を1年比べた試験。体重の減り方に差はなかった。食べ方の形ではなく合計が効いていることを示す例として挙げた。